心臓の解剖学
身体に必要な酸素や栄養を全身に運搬するのに重要な臓器が「心臓」です
心臓への理解が深まることで、心不全などの症状と関連付けられるため、知識として定着しやすくなります
看護師国家試験には必須の内容になっているため、しっかり学んでいきましょう
心臓ってどこにあるの?
心臓は「握りこぶし」の大きさで、両肺の間に位置しています
心臓の下部は少し尖っているため「心尖」、上部は「心底」と呼びます
心尖が左に寄っているため、右肺に比べ左肺のほうが少し小さいです
心臓は食道や気管の前方、胸骨(胸板)の後方に位置しています
ちなみに、両肺の間、胸骨後方、胸椎の前のスペースを「縦隔(じゅうかく)」と言います
そのため心臓は「縦隔内臓器」です
縦隔内臓器には、心臓以外にも、「大血管(大動脈や肺動脈、肺静脈)」や「食道」、「胸腺」、「気管気管支」、「自律神経」、「リンパ管」などが存在しています。縦隔に腫瘍ができることを縦隔腫瘍と呼び、「胸腺」や「神経」に生じることが多い。
心臓ってどんな性質があるの?
【心臓の摩擦を抑える心膜】
心臓は絶え間なく収縮と拡張を繰り返し、動き続けている臓器です
そのため、摩擦を軽減するため心臓の周りは心膜と呼ばれる膜で覆われています
詳しくは下記画像をご参考下さい
心膜によって心臓の動きによって生じる摩擦が軽減されています
※心膜は心嚢(線維性心膜)と漿液性心膜からなり、漿液性心膜の間(心膜腔)には心嚢液が満たされている。心嚢液が「水のクッション」の役割を果たして摩擦を軽減している。
【ちょっと変わった筋肉「心筋」】
心臓を動かしているのは「心筋」と呼ばれる筋肉
心筋は他の筋肉と比較してちょっと特別な筋肉なんです
筋肉には大きく分けて2種類の筋肉があり、「横紋筋」と「平滑筋」があります
「横紋筋」は骨格筋と呼ばれる身体(骨)を動かす筋肉に当たります
例)上腕二頭筋、腹筋、表情筋など
「平滑筋」は消化管(食道や胃、腸など)や血管などの運動を司どっています
横紋筋は随意運動(意識して動きを調節できる)
平滑筋は不随運動(意識して動きを調節できない)が基本的
心筋は「横紋筋」でありながら、意識して動きを調節できない不随運動をする筋肉なので特別です
■筋肉は「横紋筋」「平滑筋」に分類
■横紋筋には「骨格筋」と「心筋」があり、骨格筋は「随意筋」、心筋は「不随意筋」
■平滑筋は腸や血管などに分布しており、「不随意筋」
筋肉の収縮と弛緩には「アクチンフィラメント」と「ミオシンフィラメント」がドッキング(くっ付く)することで収縮し、ディバイド(離れる)ことで弛緩する
横紋筋の特徴は「アクチンフィラメント」と「ミオシンフィラメント」が規則正しく配列しているため模様がはっきりと見えることから横紋筋(横に紋章のように見える筋肉)と呼べれている
平滑筋は「アクチンフィラメント」と「ミオシンフィラメント」がまばらに配列していることで模様がみえない筋肉(平らで滑らかな筋肉)と呼ばれています
心臓の中はどうなっているの?
心臓には4つの部屋がある
心臓の中は、4つの部屋に分かれています
右上部が「右心房(うしんぼう)」
右下部が「右心室(うしんしつ)」
左上部が「左心房(さしんぼう)」
左下部が「左心室(さしんしつ)」
と呼ばれています
右心房は、全身から血液が
「心臓」に戻ってくる
右心室は、心臓に戻ってきた血液を
「両肺」へ送り出す
左心房は、血液が肺から
「心臓」に戻ってくる
左心室は、肺から戻ってきた血液を
「全身」へ送り出す
☑心房は血液が戻ってくる部屋
☑心室は血液を送り出す部屋
動脈と静脈、動脈血と静脈血
血液は血管を通して心臓から送り出されたり、心臓へ戻ってきたりします
心臓へ戻ってくる血管は静脈
心臓から送りだされる血管は動脈
といいます
また、
酸素が豊富で新鮮な血液は動脈血
各組織で酸素を消費した血液は静脈血
といいます
肺動脈には静脈血が流れている
肺動脈は血液を心臓から肺へ送り出す血管
「肺動脈」には肺で酸素を取り入れる前の「静脈血」が流れている
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